今回は役者について触れてみたいと思います。
体を動かす事は役者にとって大切なことですが、普通に誰にでも当てはまることなんですよね。記憶力を保つ上でも適度な運動が大切です。
運動が記憶力を高めることは科学的にも証明されています。
そして記憶のタイミングも明らかになっているんですよね。
私たち役者は色んな事を記憶してお客様に観せていくお仕事です。
よく言われるのが、「どうやってセリフ覚えるの?あんなによく覚えられるよね」です。
セリフの覚え方は人それぞれ違いますが、どれだけ台本に書かれている事を理解できているかで、記憶するスピードは全く変わってきます。
「読み込み」と言う作業をするわけですが、
単に読んで覚えるだけではありません。
そのキャラクターの背景や相手との関係性、
そしてセリフの言い方を読み取り、
どんな性格なのかも考えていくんです。
その繰り返しの中にセリフがあるという感じです。
どんどん物語の内容と自分が演じるキャラクターの役割を確認し、決めていくんです。すると自ずと言いたいセリフが台本に書かれている事に気付くはずです。読んでも読んでも理解できなければ、その物語の中で生きていけません。
溶け込むんですね、演じるってことは。
それが出来ると、セリフは勝手に入ってくるんです。
役者を始めたばかりの頃は、セリフを覚えるのに必死で、喋っているのに頭の中にテロップが出ているんです。それも、台本ごと。このセリフは右側のページの真ん中辺りに書いてあるのが、映像として出てくるんです。
それが、感情の入らない、俗に言う棒読みってやつになるんです。
その意味がわかってくるとなかなか面白いのですが、今度はまた違う悩みが出てくるのも確かです。
脚本自体は、実を言うとそこまで深堀りせずに書くのですが、やはりそれではなかなか思った通りに解釈してくれませんね。まぁ、そこを稽古して補っていくのですが・・・。
演出や役者にとって台本を読んで理解していく力は必ず必要で、どれだけ想像して自分の中に入れていくかが勝負となります。僕は書く側に回りましたが、逆にもっと役を作る勉強をしていかないといけません。
また舞台に立つとかじゃなく、演出する上では必要不可欠な要素なんです。その辺りのお話もまたできたらと思います。では今回はこの辺りで。
今週も良い1週間になりますように。
長壁吾郎